○精華町男女共同参画推進条例
平成25年3月29日
条例第24号
目次
前文
第1章 総則(第1条~第10条)
第2章 基本的施策(第11条~第20条)
第3章 苦情及び相談への対応(第21条・第22条)
第4章 精華町男女共同参画審議会(第23条)
第5章 雑則(第24条)
附則
精華町は、平城京(奈良)、平安京(京都)等の都を結ぶ文化の回廊に位置し、豊かな自然の中で古くから農業を中心に人々の暮らしが営まれてきました。近年、関西文化学術研究都市の中心地として、最先端技術の研究施設や新しい街並みが加わり緑と調和した都市の形成が進んでいます。
わが国では、日本国憲法にうたわれた法の下の平等と、国際社会における取組と連携した男女共同参画社会の実現を目指して、男女共同参画社会基本法が制定されました。精華町においても平成17年に精華町男女共同参画基本計画を策定し、一人ひとりが暮らしやすいまちを目指して様々な施策を推進してきました。
しかし、住民の意識には差があり、地区によっては性別による固定的な役割分担意識や慣行が今なお根強く残っており、個々の個性や能力が十分に発揮されていない状況があります。
また、仕事と生活とが調和した社会生活を営むことが難しい環境にもあり、すべての人がお互いの人権を尊重しあい多様な生き方を選択することのできる男女共同参画社会の実現には多くの課題が残され、なお一層の努力が必要です。
今後さらに少子高齢化や社会の急激な変化が進む中、学研都市の中核地にふさわしい活力ある生活環境を実現するためには、社会のあらゆる分野で男女共同参画の推進に取り組まねばなりません。
こうした現状を踏まえ、精華町は、男女共同参画の推進を主要な政策と位置づけ、町に関わるすべての人が協力・連携して、誰もがその個性と能力を十分に発揮できる真に豊かなまちづくりに取り組むため、この条例を制定します。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、精華町における男女共同参画の推進に関する基本理念を定め、住民、事業者、住民活動団体、教育関係者及び町の責務を明らかにするとともに、町が実施する施策の基本となる事項を定め、「一人ひとりが暮らしやすいまち」を目標に、住民一人ひとりが人権を尊重され、生き生きと暮らすことのできる男女共同参画社会を実現することを目的とする。
(1) 男女共同参画 性別にかかわりなく、すべての人が個人として尊重され、自らの意思により、家庭、学校、職場、地域その他あらゆる場における活動に参画し、個性と能力を十分に発揮する機会が確保され、共に責任を担うことをいう。
(2) 住民 町内に居住又は町内で活動するすべての個人をいう。
(3) 事業者 町内において、営利であるか非営利であるかを問わず、事業活動を行う個人及び法人その他の団体をいう。
(4) 住民活動団体 町内において活動を行う住民団体及びコミュニティ活動のための組織等をいう。
(5) 教育関係者 町内において、あらゆる教育及び保育に携わる個人及び法人その他の団体をいう。
(6) 積極的改善措置 社会のあらゆる分野での活動における男女間の格差を是正するため、男女のいずれか一方に対し、積極的に参画する機会を提供することをいう。
(7) セクシュアル・ハラスメント 性的な言動により他の者に不快感を与え、就労環境その他の生活環境を害すること、又は不利益を与えることをいう。
(8) ドメスティック・バイオレンス 配偶者、恋人その他の親密な関係にある、又は親密な関係にあった者の間での、身体的、精神的、経済的又は性的な苦痛を与える暴力をいう。
(9) ワーク・ライフ・バランス 一人ひとりが、やりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、仕事と家庭や地域生活等との調和が保たれ、人生の各段階に応じて多様な生き方を選択及び実現できることをいう。
(基本理念)
第3条 男女共同参画を推進するための基本理念は、次のとおりとする。
(1) 男女の人権の尊重 すべての人が個人として尊重され、性別による差別的な扱いを受けることなく、能力を発揮する機会が確保されること。
(2) 社会における制度及び慣行についての見直し 性別による固定的な役割分担意識に基づく制度及び慣行が改善され、住民が社会活動に制限を受けることなく参画し、多様な生き方が自由に選択できること。
(3) 政策等の立案及び決定への共同参画 住民が、社会の対等な構成員として、町における政策又は事業者、住民活動団体等その他の団体における方針の立案及び決定に参画する機会が確保されること。
(4) 家庭生活と社会活動の両立 住民が、互いの協力及び社会の支援の下、家事、育児、介護等の家庭生活における活動及び職業生活、その他の社会における活動に対等に参画でき、ワーク・ライフ・バランスが保たれること。
(5) 次世代の育成 次代の社会を生きる子どもを「こころ豊かに育む」ために、家庭、学校、職場、地域その他あらゆる場において、住民が共に参画し責任を担い、安心して子どもを産み、育てられる環境づくりへの取組が進められること。
(6) 男女の生涯にわたる健康の確保 男女が、互いの性についての理解を深め、妊娠、出産等について双方の意思が尊重されるとともに、生涯を通じて健康な生活を営む権利が保障されること。
(7) あらゆる教育の機会における男女共同参画への理解を深める取組 家庭、学校、職場、地域その他あらゆる教育及び学習の機会において、個人として自ら学び、考え、決定して行動することの重要性を認識し、男女共同参画への理解を深めるための取組がされること。
(8) 性別による人権侵害の禁止 セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)、ドメスティック・バイオレンス(DV)その他の男女共同参画を阻害する暴力的行為は、犯罪又は人権侵害であるとの認識の下、その根絶を目指すこと。また、男女の性別にとどまらず、性同一性障害を有する人、先天的に身体上の性別が不明瞭である人その他のあらゆる人の人権についても配慮されること。
(9) 国際的視野での協調 男女共同参画社会の実現に当たっては、国際社会における取組に留意し、国際的な協調の下に行われること。
(町の責務)
第4条 町は、基本理念に基づき、男女共同参画の推進を主要な施策として位置付け、男女共同参画の推進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、実施しなければならない。
2 町は、国及び他の地方公共団体と連携を図り、住民、事業者及び住民活動団体、教育関係者と協働して、男女共同参画の推進に関する施策を効果的に実施しなければならない。
3 町は、率先して男女共同参画の推進に取り組むとともに、事業者の模範となるよう努めなければならない。
(住民の責務)
第5条 住民は、基本理念に基づき、男女共同参画についての理解を深め、家庭、学校、職場、地域その他あらゆる場において、男女共同参画の推進に努めなければならない。
2 住民は、町が実施する男女共同参画に関する事業に協力するよう努めなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、基本理念に基づき、雇用している、又は雇用しようとする人について、雇用上の均等な機会及び待遇を確保するとともに、ワーク・ライフ・バランスのとれる就労環境づくりに努めなければならない。
2 事業者は、町が実施する男女共同参画の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。
(住民活動団体の責務)
第7条 住民活動団体は、基本理念に基づき、その団体活動において、男女が対等に参画できる機会を積極的に確保するよう努めなければならない。
2 住民活動団体は、町が実施する男女共同参画に関する事業に協力するよう努めなければならない。
(教育関係者の責務)
第8条 教育関係者は、男女共同参画を推進する上での教育の果たす役割の重要性を認識し、基本理念に基づき、教育を行うよう努めなければならない。
2 教育関係者は、町が実施する男女共同参画の推進に関する施策に取り組むよう努めなければならない。
(性別による人権侵害の禁止)
第9条 住民は、家庭、地域、職場、学校その他のあらゆる分野において、直接的であるか間接的であるかを問わず、性別による差別的な扱い及び人権侵害を行ってはならない。
2 住民は、セクシュアル・ハラスメント及びドメスティック・バイオレンスを行ってはならない。
(情報及び表現に関する留意事項)
第10条 住民は、広く提供する情報において、次に掲げる表現を行わないよう努めなければならない。
(1) 性別による固定的な役割分担意識を肯定し、助長し、又は連想させる表現
(2) 性別による暴力的行為を肯定し、助長し、又は連想させる表現
(3) 性別による偏見を肯定し、又は助長する表現
(4) 過度の性的な表現
第2章 基本的施策
(基本計画)
第11条 町長は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に実施するため、男女共同参画の推進に関する基本的な計画(以下「基本計画」という。)を策定しなければならない。
2 町長は、基本計画を策定又は変更するときは、精華町男女共同参画審議会の意見を聴くとともに、住民の意見を反映させるよう努めなければならない。
3 町長は、基本計画を策定し、又は変更したときは、速やかにこれを公表しなければならない。
4 町長は、社会情勢の変化に対応し、男女共同参画の推進のため、必要に応じて基本計画の見直しを行わなければならない。
(施策の策定等に当たっての配慮)
第12条 町は、あらゆる施策を定め、実施するに当たっては、男女共同参画の推進に配慮しなければならない。
(推進体制の整備等)
第13条 町は、男女共同参画の推進に関する施策を総合的かつ計画的に実施するための推進体制を整備する。
2 町は、男女共同参画に関する施策を推進するため、必要な措置を講じなければならない。
(調査研究)
第14条 町は、男女共同参画の推進に関する施策を定めること及びその推進に必要な事項について、調査研究を行うとともに、その成果を施策に反映させるものとする。
(住民等の理解を深める取組)
第15条 町は、住民等の男女共同参画に関する意識及び理解を深めるよう、情報提供及び広報活動等の充実に取り組まなければならない。
(積極的改善措置)
第16条 町は、家庭、地域、職場、学校その他の社会のあらゆる分野における活動において、男女の間に参画する機会の格差が生じている場合は、住民等と協力し、積極的に格差を是正するための措置を講じるよう努めなければならない。
2 町長は、あらゆる審議会等の委員を委嘱し、又は任命する場合には、できる限り男女の均衡を図るよう努めなければならない。
(住民等の活動への支援)
第17条 町は、住民等に対して、男女共同参画の推進活動に関する情報の提供、人材の育成及びその他必要な支援を行うよう努めなければならない。
(雇用における男女共同参画の推進)
第18条 町は、事業者に対し、雇用における男女共同参画の推進活動に関する情報提供等必要な支援に努めなければならない。
(事業者等からの報告)
第19条 町長は、男女共同参画の推進に関する現状及びその他必要な事項について、事業者及び住民活動団体等に報告を求めることができる。
(施策の実施状況の公表)
第20条 町長は、毎年度、基本計画に基づく施策の実施状況について、広く住民に周知できるよう工夫して公表しなければならない。
第3章 苦情及び相談等への対応
(苦情等への対応)
第21条 町は、町が実施する男女共同参画の推進に関する施策や男女共同参画の推進に影響を及ぼすと認められる事項に関して住民等からの苦情及び意見の申出があった場合は、問題解決に向けた適切な対応をするものとする。
2 町は、相談及び苦情の申出に係る処理制度への住民等の理解を深めるため、その普及啓発を行うものとする。
(相談等への対応)
第22条 町は、性別による差別的な扱い、セクシュアル・ハラスメント又はドメスティック・バイオレンスによる被害若しくは不利益を受けた者からの相談があった場合は、被害者保護のために必要に応じて関係機関と連携し、解決に向けた適切な対応をするものとする。
第4章 精華町男女共同参画審議会
(男女共同参画審議会)
第23条 男女共同参画の推進に関して必要な事項を調査審議するため、地方自治法(昭和22年法律第67号)第138条の4第3項の規定に基づく町長の附属機関として、精華町男女共同参画審議会(以下「審議会」という。)を設置する。
2 審議会は、第11条第2項に規定する事項のほか、男女共同参画の施策の推進に関し必要な事項について町長に意見を述べることができる。
3 審議会は、町長が委嘱する委員13人以内をもって組織する。
4 委員の任期は、2年とし、再任されることを妨げない。ただし、委員が欠けた場合における補欠委員の任期は、前任者の残任期間とする。
5 前各項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。
第5章 雑則
附則
この条例は、平成25年10月1日から施行する。