○精華町立学校ハラスメントの防止に関する要綱
平成22年3月9日
教育委員会要綱第2号
(目的)
第1条 この要綱は、精華町立学校に勤務する職員(以下「職員」という。)がセクシュアル・ハラスメント及びパワー・ハラスメントを引き起こすことによる児童生徒の心身に対する悪影響、精華町の教育に対する町民の不信、職員の勤務環境及び児童生徒の学習環境(以下「勤務・学習環境」という。)が害されること等の事態の発生を未然に防ぐとともに、万一、このことが発生した場合においては、適切に対応することによってその行為を制止し、信頼される教育行政の確保、職員及び児童生徒の利益の保護並びに職員の十分な勤務能率の発揮に資することを目的とする。
(1) ハラスメント セクシュアル・ハラスメント及びパワー・ハラスメントの総称
(2) セクシュアル・ハラスメント 他の職員や児童生徒を不快にさせる学校における性的な言動及び職員が他の職員や児童生徒を不快にさせる学校外における性的な言動をいう。
(3) パワー・ハラスメント 職員が職務上の権限や地位等を背景に、本来の業務の範疇を超えて継続的に他の職員の人格や尊厳を傷つけるような言動をいう。
(4) ハラスメントへの対応 ハラスメントに対する拒否、抗議、苦情の申出等の行為をいう。
(5) ハラスメントに起因する問題 ハラスメントのため職員の勤務環境が害され、又は児童生徒の学習環境が害されること及びハラスメントへの対応に起因して職員がその勤務条件につき不利益を受け、又は児童生徒が心身に被害を被ることをいう。
(6) 勤務・学習環境が害されること 職員や児童生徒が直接又は間接的にハラスメントを受けることにより、職務に専念することができなくなる等公務能率が損なわれ、又は学校にいることや学校に行くことに苦痛を感じる等、学習意欲や登校意欲が損なわれることをいう。
(7) 勤務条件につき不利益を受けること 昇任、配置換等の任用上の取扱いや昇格、昇給、勤勉手当等の給与上の取扱い等に関し不利益を受けることをいう。
(校長の責務)
第3条 校長は、職員がその能力を十分に発揮でき、児童生徒が安心して学習・生活を行える勤務・学習環境を確保するため、ハラスメントの防止及び排除に努めなければならない。
2 校長は、ハラスメントに起因する問題が学校に生じていないか又はそのおそれがないか、勤務・学習環境に十分な注意を払わなければならない。
3 校長は、ハラスメントに起因する問題が生じた場合においては、必要な措置を迅速かつ的確に講じなければならない。この場合において、ハラスメントに対する苦情の申出、当該苦情等に係る調査への協力その他ハラスメントに対する職員の対応に起因して、当該職員及び児童生徒が学校において不利益を受けることがないよう、また、同僚等から誹謗や中傷などを受けることがないよう配慮しなければならない。
(職員の責務)
第4条 職員は、各号に定めるところに従い、常にハラスメントに対する認識を持ち、ハラスメントをしないように注意しなければならない。
(1) ハラスメントをしないようにするために職員が認識すべき事項 ハラスメントをなくすためには、意識や心構えが重要であることから、職員は常にこれらの認識をしておく必要があり、具体的には別表第1に掲げるような認識を持つことが大切である。
(2) 職場の構成員として良好な勤務・学習環境を確保するために認識すべき事項 学校は一般の職場環境と異なり、児童生徒の教育の場であることに注意する必要がある。勤務・学習環境は、その構成員である職員の協力の下に形成される部分が大きいことから、ハラスメントにより勤務・学習環境が害され、ひいては教育の場として望ましくない状況が生じることを防ぐため、職員は、別表第2に掲げる事項について、配慮するよう努めなければならない。
(4) 懲戒処分 ハラスメントの態様等によっては信用失墜行為、全体の奉仕者たるにふさわしくない非行等に該当して、懲戒処分に付されることがある。
2 教頭は、良好な勤務・学習環境を確保するため、日常の執務を通じた指導等によりハラスメントの防止及び排除に努めるとともに、ハラスメントに起因する問題が生じた場合には、迅速かつ適切に対処しなければならない。
(研修等)
第5条 校長は、ハラスメントの防止等を図るため、所属職員に対し、必要な研修等を実施するよう努めなければならない。
2 教育長は、新たに校長、教頭(以下「校長等」という。)となった職員に対し、ハラスメントの防止等に関し、その求められる役割について理解させるために、研修を実施するものとする。
3 教育長は、前項に定めるもののほか、自ら実施することが適当と認められるハラスメントの防止等のために、必要な研修について計画を立て、その実施に努めるものとする。
(苦情相談への対応)
第6条 精華町教育委員会は、ハラスメントに関する苦情の申出及び相談(以下「苦情相談」という。)がなされた場合に対応するため、次のとおり苦情相談窓口を設置する。
(1) 苦情相談窓口 教育部教育支援室内
(2) 苦情相談に対応する者(以下「相談員」という。) 教育長が指名する職員
(3) 苦情相談窓口の開設日及び時間等は、教育長が別に定める。
2 相談員は、苦情相談に係る問題の事実関係の確認、当該苦情相談に係る当事者に対する助言等により、当該問題を迅速かつ適切に解決するよう努めるものとする。この場合において、相談員は、人事院指針(セクシュアル・ハラスメントに関する苦情相談に対応するに当たり留意すべき事項についての指針)に十分注意しなければならない。
3 苦情相談窓口においては、ハラスメントによる直接の被害者だけでなく、次に掲げる職員、児童生徒等からの苦情相談にも応じるものとする。
(1) 他の職員や児童生徒がハラスメントを受けているのを見て不快に感じる職員や児童生徒、保護者からの苦情の申出
(2) 他の職員や児童生徒にハラスメントをしている旨の指摘を受けた職員からの相談
(3) ハラスメントに関する相談を受けた校長等からの相談
4 苦情又は相談に対応した相談員は、苦情・相談記録簿(別記様式)により、その内容を記録するものとする。
(苦情相談の処理)
第7条 前条の規定により苦情相談窓口に苦情相談があった場合は、教育部教育支援室において、速やかに次に掲げる措置を講ずるものとする。
(1) 複数の教育部教育支援室職員により事実関係の調査及び確認を行う。
(2) 事案の内容又は状況から判断して、必要と認めるときは、次条に規定する苦情処理委員会にその処理を依頼する。
(苦情処理委員会の設置)
第8条 ハラスメントに関する苦情相談に対し、適正かつ効果的に対応するため、苦情処理委員会(以下「委員会」という。)を設置する。
2 委員会は、ハラスメントに関する苦情相談のうち、前条の規定によりその処理を依頼された事案について事実関係を調査し、その対応措置を審議し、及び必要な指導助言を行うものとする。
3 委員会は、委員長及び委員をもって組織する。
4 委員長は、教育部長の職にある者をもって充てる。
5 委員は、教育部総括指導主事及び教育部教育支援室長の職にある者をもって充てる。
6 前項の規定にかかわらず、委員長は、特に必要と認めた者を委員に委嘱することができる。
7 委員長は、会務を総括し、委員会を代表する。
8 委員会の庶務は、教育部教育支援室において処理する。
(プライバシーの保護等)
第9条 苦情処理に当たっては、当事者のプライバシーの保護に努め、苦情相談を行った者が苦情相談を行ったことにより不利益を被らないよう注意しなければならない。
(その他)
第10条 この要綱に定めるもののほか、必要な事項は、教育長が別に定める。
附則
この要綱は、平成22年4月1日から施行する。
附則(平成24年教委要綱第1号)
この要綱は、公布の日から施行する。
附則(平成28年教委要綱第1号)
この要綱は、平成28年4月1日から施行する。
別表第1(第4条関係)
認識事項 | 具体的内容 |
意識 | ・ お互いの人格を尊重しあうこと。 ・ 相手を性的な関心の対象としてのみ見る意識をなくすこと。 ・ 異性を劣った性として見る意識をなくすこと。 ・ お互いが大切なパートナーであるという意識を持つこと。(職員の場合) |
心構え | 1 職員間のハラスメントにだけ注意するのでは不十分であること。 児童生徒など職員がその職務に従事する際に接することとなる職員以外の者との関係にも十分注意する必要がある。 2 職場におけるハラスメントにだけ注意するのでは不十分であること。 例えば、対職員であれば歓送迎会、対児童生徒であれば部活動の対外試合中等、学校以外の場において、職員が他の職員又は児童生徒に対してハラスメントを行うことは、学校における人間関係を損ない、勤務・学習環境を害するおそれがあることから、場所・時間にかかわらず注意することが必要である。 3 性に関する言動に対する受け止め方には個人間や男女間で差があり、セクシュアル・ハラスメントに当たるか否かについては、相手の判断が重要であること。 (1) 親しさを表すつもりの言動であったとしても、本人の意図とは関係なく相手を不快にさせてしまう場合があること。 (2) 不快に感じるか否かには個人差があること。 (3) この程度のことは相手も許容するだろうという勝手な憶測をしないこと。 (4) 相手との良好な人間関係ができていると勝手な思いこみをしないこと。 4 業務と関係ない、又は指導の範囲を超えた感情にまかせた言動は、パワー・ハラスメントになり得るという認識を持つこと。 5 相手が拒否し、又は嫌がっていることが分かった場合には、同じ言動を決して繰り返さないこと。 6 ハラスメントであるか否かについて、相手からいつも意思表示があるとは限らないこと。 ハラスメントを受けた者が、職場の人間関係、教師と児童生徒との立場の違い等から拒否することができないなど、相手からいつも明確な意思表示があるとは限らないことを十分認識する必要がある。 |
別表第2(第4条関係)
配慮事項 | 説明等 |
学校内のハラスメントについて問題提起する職員、児童生徒をいわゆるトラブルメーカーと見たり、ハラスメントに関する問題を当事者間の個人的な問題やその職員の指導方針として片付けないこと。 | 職場におけるミーティングを活用することなどにより解決することができる問題については、問題提起を契機として、良好な勤務・学習環境の確保のために皆で取り組むことを日頃から心がけることが必要である。 |
学校からハラスメントに関する問題の加害者や被害者を出さないようにするために、周囲に対する気配りをし、必要な行動をとること。具体的には、次の事項について十分注意して必要な行動をとること。 (1) ハラスメントが見受けられる場合は、職場の同僚として注意を促すこと。 (2) 被害を受けていることを見聞きした場合には、声をかけて相談に乗ること。 | ハラスメントを契機として、勤務・学習環境に重大な悪影響が生じたりしないうちに、機会をとらえて職場の同僚として注意を促すなどの対応をとることが必要である。 被害者は「恥ずかしい」、「トラブルメーカーとのレッテルを貼られたくない」、「学校から問題児扱いされたくない」などとの考えから、他の人に対する相談をためらうことがある。被害を深刻にしないように、気がついたことがあれば、声をかけて気軽に相談に乗ることも大切である。 |
職場においてハラスメントがある場合には、教育の場にふさわしい環境づくりをする上で、上司等に相談するなどの方法をとることをためらわないこと。 |
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別表第3(第4条関係)
認識事項 | 説明等 |
一人で我慢している、又は我慢させているのでは問題は解決しないこと。 | ハラスメントを我慢、無視したり、受け流したりしているだけでは、必ずしも状況は改善されないということをまず認識することが大切である。 |
ハラスメントに対する行動をためらわないこと。 | 被害を深刻にしない、他に被害者をつくらない、更にはハラスメントをなくすことは自分だけの問題ではなく良い勤務・学習環境の形成に重要であるとの考えに立って行動することが求められる。特に児童生徒が被害者の場合、一人で我慢している状況が起こりやすいので、第三者の積極的な行動が望まれる。 |
別表第4(第4条関係)
行動 | 説明等 |
嫌なことは相手に対して明確に意思表示をすること。 | ハラスメントに対しては毅然とした態度をとること。すなわち、はっきりと自分の意思を相手に伝えることが重要である。直接相手に言いにくい場合は、手紙等の手段をとるという方法も考えられる。 |
信頼できる人に相談すること。 | まず、職場の同僚や知人等身近な信頼できる人に相談することが大切である。各職場内において解決することが困難な場合には、外部の相談機関に相談する方法を考える。 なお、相談するに当たっては、ハラスメントが発生した日時、内容等について記録しておくことが望ましい。 |