○精華町議会基本条例
平成21年3月30日
条例第13号
前文
精華町議会は、日本国憲法が定める「地方自治の本旨」を実現するため、二元代表制のもと住民から直接選挙された機関として、その権能を十分に発揮することにより町民福祉の向上に寄与する責務があります。
その実現のため、精華町の意思決定機関である議会は、その審議過程において徹底した情報公開による公正性・透明性・信頼性を確保し、決定事項については町民への説明責任を負います。また、議会への町民の参画を促進することで、開かれた議会を実現し、町民の意見を最大限に反映させる義務があります。
この基本条例は、上記の理念に基づき、議会・議員の活動原則や議会と町民と行政との関係を定めることにより、議会のあるべき姿を明確に定めるものです。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、地方主権時代にふさわしい議会及び議員活動の活性化と充実のために必要な事項を定めることにより、「町民参加・町民との協働」「情報公開・説明責任」「議会権能の発揮」「政策提言・提案」を柱とする「開かれた精華町議会」を実現し、精華町の持続的で豊かなまちづくりに寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次に掲げる用語の定義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 町民 町内に在住、在勤又は在学する個人及び町内で活動する法人その他の団体をいう。
(2) 町 町長を代表者とする基礎的自治体としての精華町をいう。
第2章 議会及び議員の活動原則
(議会の活動原則)
第3条 議会は、次の各号に掲げる原則に基づき活動しなければならない。
(1) 住民から直接選挙された代表者であることを常に自覚し、公正性、透明性、信頼性を重視し、町民参加の開かれた議会をめざすこと。
(2) 会議の運営については、開かれた議会の実現に向け、常に見直しを図ること。
(3) 町民が、議会を傍聴し、町政に参画する意欲が高まる議会運営に努めること。
(4) 町長との緊張関係のもと、監視機能を果たすとともに、議員相互の自由な討議(以下「自由討議」という。)などを用いて、政策立案・提案を積極的に行うこと。
(通年議会)
第3条の2 議会は、前条の目的を達成するため議会の会期を通年とする。
2 通年議会を実施するために必要な事項は、別に定める。
(議員の活動原則)
第4条 議員は、次の各号に掲げる原則に基づき活動しなければならない。
(1) 議会が言論の府であること及び合議制の機関であることを十分に認識し、自由討議の推進を重んじること。
(2) 個別的、地域的な事案の解決だけでなく、町民全体の福祉の向上をめざして活動をすること。
(3) 町政の課題全般について、町民の意見を的確に把握するとともに、不断の研さんによって自己の能力を高め、町民の代表としてふさわしい活動をすること。
(議員の防災活動)
第5条 議員は、本町地域において災害が発生した際は、行政と一体となり、円滑に支援活動が行われるよう協力しなければならない。
2 防災活動に関することは、議長が別に定める。
(会派)
第6条 議員は、議会活動を行なうため、政策を中心とした同一の理念を共有する会派を結成することができる。
2 会派に関する事項は、議長が別に定める。
第3章 議会と町民との関係
(町民参加及び町民との連携)
第7条 議会は、議会の活動に関する情報公開を徹底するとともに、町民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。
2 議会は、常任委員会、議会運営委員会並びに特別委員会等(以下「委員会等」という。)は、原則として公開する。
3 議会は、委員会等の運営にあたり、参考人制度、公聴会制度及び委員派遣制度等を十分に活用して、町民及び関係者の専門的又は政策的識見等を議会の討議に反映させるものとする。
4 議会は、請願及び陳情を、町民による政策的提案と位置づけるとともに、その審議においては、必要に応じて提案者の意見を聴く機会を設けるよう努めなければならない。
5 議会は、町民との意見交換の場を多様に設けて、議会及び議員の政策立案能力を充実させるとともに、政策提案の拡大に努めなければならない。
6 議会は、議案に対する各議員の表決結果を議会広報紙等で公表するとともに、議員の活動に対する町民の的確な評価に資する情報の提供に努めなければならない。
7 議会は、必要に応じて法に定める調査機関及びアドバイザーを設置し、専門的調査・研究等を実施するよう努めるものとする。
8 議会は、町民すべての者が議会に参画できるよう物理的、経済的方法等に最大限の配慮をしなければならない。
(議会報告会)
第8条 議会は、議会及び議員の活動原則に基づく町民との多様な意見交換の機会として、少なくとも年1回以上議会報告会を行うものとする。
2 議会報告会に関する事項は、議長が別に定める。
第4章 議会と町長の関係
(町長等と議会及び議員の関係)
第9条 本会議における議員と町長及び関係職員等(以下「町長等」という。)との質疑及び質問は、論点又は争点を明確にするため、一問一答の方式で行うことができる。
2 議長からの求めにより本会議又は委員会等に出席した町長及び教育長は、論点又は争点を明確にするため、議員の質問に対し議長又は委員長の許可を得て反問することができる。
(重要な施策等の説明資料)
第10条 議会は、町長が重要な施策等を提案するときは、その水準を高めるため、次の各号に掲げる事項について明らかにするよう求めるものとする。
(1) 施策等の発生源
(2) 検討した他の施策等の内容
(3) 他の自治体の類似する施策との比較検討
(4) 総合計画における根拠又は位置づけ
(5) 関係ある法令及び条例等
(6) 施策等の決定過程における町民参加及び内容
(7) 施策等の実施にかかる財源措置
(8) 将来にわたる施策等のコスト計算及び予想される施策の効果
2 議会は、前項の施策等の審議に当たっては、それらの施策等の水準を高める観点から、立案、執行における論点、争点を明らかにするとともに、執行後における政策評価に資する審議に努めるものとする。
(予算・決算における施策説明資料の作成)
第11条 議会は、予算案及び決算の審議に付すに当たっては、前条の規定に準じて、分かりやすい施策等の説明資料を町長に求めるものとする。
(任意的議決事件)
第12条 地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第96条第2項の議決事項については、代表機関である議会が、町政における重要な計画等の決定に参画する観点、同じく代表機関である町長の政策執行上の必要性を比較検討の上、次の通り定めるものとする。
(1) 総合的かつ計画的な行政運営を図るための基本構想及び基本計画
(2) 他の自治体(国外を含む)との姉妹都市協定の締結
(3) 対外的に表明する各種宣言・憲章
(4) 重要な私法上の契約
第5章 自由討議の拡大
(自由討議の活用)
第13条 議会は、議員による討論の場であることを十分に認識し、議長は、町長等に対する本会議等への出席要請は必要に応じたものとし、第4条第1号に規定する自由討議の機会を設けるよう運営しなければならない。
2 議員は、自由討議の拡大に努め、政策、条例、意見書等の議案の提出を積極的に行うようにするものとする。
3 議会は、自由討議において積極的な議論を尽くすとともに、あわせて町民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。
4 議員は、自由討議の結果としての議会の統一した意思決定に向けて、合意形成に努めるものとする。
第6章 政務活動費
(政務活動費)
第14条 政務活動費は、議員による政策研究、政策提言等が確実に実行されるよう、別に定める精華町議会政務活動費の交付に関する条例(平成24年条例第31号)に基づき、会派及び会派に属さない議員に対して交付するものとする。
2 政務活動費の交付を受けた会派及び議員は、公正性、透明性等の観点に加え、その支出根拠が議会の議決事項である予算に依拠することから、町民等から疑義が生じないよう、議長に対して証票類を添付した公表書を提出するとともに、1年に1回以上、政務活動費による活動状況を町民に公表しなければならない。
3 議長は、各会派及び議員が執行した政務活動費の成果等に関する資料を保存するとともに、町民等が容易に閲覧できるよう努めなければならない。
第7章 議会及び議会事務局の体制整備
(議会事務局の体制整備)
第15条 議会は、議員の政策形成及び立案機能を高めるため、議会事務局の調査及び法務機能を積極的に強化するよう努めるものとする。
(議員研修の充実強化)
第16条 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上等を図るため、議員研修の充実強化を図るように努めるものとする。
2 議会は、議員研修の充実強化に当たり、町民等を含む研究会の開催、学識経験者の助言、他の自治体に対する調査、その他の政策研究の機会を積極的に設けなければならない。
(議会の広報)
第17条 議会は、町政に関する重要な情報を、議会独自の視点から、常に町民に対して迅速に周知するよう努めなければならない。
2 議会は、情報技術の発達等を踏まえた多様な広報手段を積極的に活用することにより、多くの町民が議会と町政に関心を持つよう議会の広報活動に努めるものとする。
(議会図書室の設置、公開)
第18条 議会は、議会図書室を設置するとともに、これを議員のみならず、町民、町職員の利用に供するものとする。
2 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上に資するため、議会図書室の資料の収集・充実に努めなければならない。
3 議会図書室の利用に関する事項は、議長が別に定める。
第8章 議員の身分及び待遇並びに政治倫理
(議員定数)
第19条 議員定数は、別に条例で定める。
2 議員定数の改正に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、町政の現状と課題、将来の予測と展望を十分に考慮するとともに、議員活動の評価等に関して町民の意見を聴取するために、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用するものとする。
3 議員定数条例の改正は、法第74条第1項の規定による町民の直接請求があった場合を除き、改正理由の説明を付して議員又は委員会が提案するものとする。
(議員報酬)
第20条 議員報酬は、別に条例で定める。
2 議員報酬の改正に当たっては、行財政改革の視点だけでなく、町政における議員の活動・役割・責務を十分に考慮するものとする。
3 議員報酬条例の改正は、法第74条第1項の規定による町民の直接請求があった場合及び町長が提案する場合を除き、改正理由の説明を付して議員又は委員会が提案するものとする。
(議員の政治倫理)
第21条 議員は、町民全体の代表者としてその倫理性を自覚し、自己の地位に基づく影響力を不正に行使することによって、町民の疑惑を招くことのないよう行動しなければならない。
2 議員は、自らに疑惑が向けられた場合は、積極的に事実を明らかにしなければならない。
3 その他政治倫理に関する事項は、別に定める。
第9章 最高規範性及び見直し手続き
(最高規範性)
第22条 この条例は、議会運営における最高規範であって、議会は、この条例に違反する議会の条例、規則、規程を制定してはならない。
2 議会は、議会に関する日本国憲法、法律及び他の法令等の条項を解釈し運用する場合においても、この条例に照らして判断しなければならない。
3 議会は、議員にこの条例の理念を浸透させるため、一般選挙を経た任期開始後速やかに、この条例についての研修を行わなければならない。
(議会及び議員の責務)
第23条 議会及び議員は、この条例に定める理念及び原則並びに、これらに基づいて制定される条例、規則、規程を遵守して議会を運営し、もって町民を代表する合議制の機関として、町民に対し責務を果たさなければならない。
(見直し手続き)
第24条 議会は、一般選挙を経た任期開始後、できるだけ速やかに、この条例の目的が達成されているかどうかを議会運営委員会において検討するものとする。
2 議会は、前項による検討の結果、制度の改善が必要な場合は、この条例の改正を含めて適切な措置を講じるものとする。
3 議会は、この条例を改正する場合は、全議員の賛同する改正案であっても、本会議において、改正の理由及び背景を詳しく説明しなければならない。
附則
附則(平成24年条例第29号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成24年条例第31号抄)
(施行期日)
1 この条例は、地方自治法の一部を改正する法律(平成24年法律第72号)附則第1条ただし書に規定する政令で定める日から施行する。
附則(平成27年条例第27号)
この条例は、平成27年9月1日から施行する。
附則(平成30年条例第23号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(令和3年条例第17号)
この条例は、公布の日から施行する。